ウサギノオト

ぼんやりした考えを、コネコネしてみる。

好きな花

 最近、さまざまな家をみることが増えた。物件を購入するわけではないが、毎月何十件と見ていると見えてくるものがある。たとえば敷地面積が狭くて、3階建てで庭なしという物件は珍しくない。

 1970年から2010年の間に、日本の都市における住宅敷地面積は、約400平米から約200平米に減ったという統計もあり、都市における戸建ての家で生活をする上で、庭は相当贅沢なオプションになっていると思われる。

 

 私が子どもの頃は、庭のあるお宅が多く、庭の植物が四季を印象付けていた。たとえば、近隣の家に植わっている枇杷無花果をいただくことも多かった。それらは、今日スーパーで並ぶ農作物のように、特別おいしいという訳ではなかったかもしれないが、庭で採れる果物は巡りくる四季の楽しみであった。

 

 同じように花も季節を印象付けていた。最近ほとんど見かけなくなった花がある。ユリである。

 オニユリの燃えるような橙色は、夏休みのイメージが結びついて、好きな花だったと思う。オニユリ自体は、育てることが難しい訳ではないらしいから、見かけなくなったのは、園芸界隈の流行り廃りがあるのかもしれない。オニユリは、割と背が高くなる植物で大きい植物は避けられているのかな?

 

 今では、ユリが植わっている庭は珍しいが、お花屋さんで四季を通じてカサブランカなどを見かけることは、当たり前になったように思う。

 ユリの花の何が好きかというと、花弁はシンプルであるのに、花としての印象は緩やかなアールを持って、身体をよじっているような艶っぽさがあるところだ。

 「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」という慣用句は廃れているかもしれないが、美人の姿や振る舞いを花に重ねて形容した人の慧眼と言葉の巧みさは、時代を経ても素晴らしいと思う。