ウサギノオト

ぼんやりした考えを、コネコネしてみる。

「青空としてのわたし」山下良道

 僧侶山下さんの来歴をたどりつつ、山下さんの仏教観がアップデートされた理由が明らかになっていく。最後には山下さんの編み出した、普通の人が瞑想するための方法が書かれている。

 山下さんの仏教理論は、従来の禅宗の流れや方法をくみつつ、自身の大乗仏教チベット仏教上座部仏教を体験したうえで、現代人の心を救うためにある仏教をめざしていることが、よく伝わってくる。

 書かれている内容は、試行錯誤の日々を綴ったもので軽く、理論はまだ不完全にも感じられたが、仏教1.0、仏教2.0ではたどり着けないところへ達していると感じられたので、実用的ベータ版の宗教として興味深い。

 ベータ版宗教と書くとカルトっぽいが、本の中でカルトについての説明、カルトの間違いを丁寧に説明してある。

 カルトというと言うまでもなく、オウムの事件がいまだに忘れられないが、仏教をはじめとする宗教が、カルトを正すべきだったと私は思う。しかし仏教はカルトを正せなかった、世の中の不安をぬぐえなかった。

 山下さんはカルトに入信した人は、本当は仏教で救われるべきだった人たちだと書いていて、なるほどなと。

 

 旧来の仏教が、時代に合わせて変わっていくことで、3.11以降の日本や世界を救っていく使命があるという趣旨は、強く心に響いた。

 人間の心に白かったり黒かったりする雲が浮かび、それをどうにかすることが大事だと思われがちだが、人間は雲の上に広がる青空の存在であり、そこから慈愛を溢れさせることができるというような話が書かれていて、何となくでも、誰もがイメージできる言葉になっているので、ここだけ読んでもよかったなと思える本だった。

 山下さんは、次世代の仏教をけん引する一人になると思うし、そうなっていって欲しいな。

青空としてのわたし